【2015年参加】 香川大学 工学部 F.Tさん

(電気系インターンシップ)

今回、私は四国旅客鉄道株式会社(以下JR四国とさせていただきます)の電気系職場にインターンシップ実習を指せていただきました。電気系職場では列車を運行するための電力・信号・通信の大きな3本柱があり、今回のインターンシップではそれぞれの部門の実習をさせていただきました。
電力部門では電車や駅設備に電力を供給するための変電所を見学させていただきました。変電所設備の構造は万が一に備えて最低でも2重系統になっているほか、四国特有の設備として瀬戸大橋の停電対策がされています。実際の設備を見学することを通して、日々当たり前のように利用している列車運行の難しさや複雑さを理解することができました。また、自身の学んでいる弱電分野だけでなく強電分野の知識も非常に大切であり、電気工事士などの関連する資格取得に努めたいと感じました。
信号部門では鉄道運行に用いられる信号機の種類やシステムの学習を行いました。よく線路際で見かける赤や緑、黄などの灯火を用いた信号機の他にも踏切が正常に動作していることを示す信号機や、ATSと呼ばれる列車を自動的に減速させたり停止させたりする設備によって列車が安全に運行されていることを学ぶことができました。信号機や踏切はリレーと呼ばれる電気スイッチの一種が多数組み合わされることで動作しています。今回のインターンシップでは、社員の方々が実際に研修を行う施設で駅や沿線で用いられている装置と同じものを操作体験させていただいたとともに、実際に保守点検で使用している工具や装置に用いられている部品を用いて配線実習をさせていただきました。配線実習では扱ったことのない部品や制御方式で自身の勉強不足を痛感しました。加えて、回路図を書く際に正しい動作をする回路ばかりを意識してしまい、配線のしやすさも考慮し回路設計を行う必要があり、とても難しかったですが、やりごたえを感じました。
通信部門では鉄道運行を支える多種多様な通信設備の学習を行いました。駅構内などによくある時計は電気時計と呼ばれ、親機の時計から時刻を発信し、子機の時計を連動させる仕組みです。この電気時計も通信設備の一種である点に非常に驚きました。また、グループ会社のJR四国情報システムでは駅POSシステムと呼ばれる切符の発券情報やノリホと呼ばれる乗車人数のデータ蓄積のためにサーバ管理をしています。このように情報系の知識も必要な場面があり、今後の学習課題としたいと思いました。
また、現在JR四国では松山駅周辺の高架化工事を行っています。今回のインターンシップでは、実際に行う高架化工事同じ様式の書類作成と高架化工事現場の見学を行いました。書類作成では工事費用の計算や資材費、労働費などの計算を行いました。一見すると電気系業務とは無関係のように感じましたが、どのような資材を用いるか、どのような工法を用いるかというように電気の知識が必要不可欠であることを書類作成することで感じました。松山高架関連工事では車両基地移設や、線路移設など様々な工事が並行して行われていることがわかりました。新設工事の多くは電力、信号、通信のすべてを行う必要があります。各部門の実習を通して学んだことを実際に見学することで、理解を深めることができました。また、このような大規模な工事の設計を行うためには電力、信号、通信すべての知識が必要不可欠で非常に高度な仕事だと感じました。

インターンシップ全体を通して感じた点として、電気系の業務を行う上で弱電や強電に関する知識はもちろんのこと、材料や地質、古典力学など幅広い知識を要求される場面が非常に多いという点だと思います。自身の先行している分野はもちろん、他の分野の知識も身に着けていきたいと感じました。
また、普段の講義や実験では体験できないことを実習などから通して学ぶことができました。加えて、普段の講義で学んだ内容が実際の現場ではどのように利用されているかなどを学ぶことができました。このような体験はなかなかできない体験だと思います。今回のインターンシップで得た知識や経験を今後の進路選択や学習方針などに生かしていきたいと考えました。
最後になりましたが、インターンシップ期間中に台風が接近するなど、非常に忙しい中でインターンシップを指導していただいた社員の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。