【2015年参加】 香川大学 農学部 N.Mさん

今回私が広野牧場のインターンシップ申請をしたのはただ動物が好きだからという理由で、酪農の仕事内容も大変さも分からないままでした。
広野牧場での作業内容は3日間の搾乳と3日間の子牛の世話がメインでした。搾乳は朝の4時に起き10時までの作業であり、普段何気なく飲んでいる牛乳がいかに気を使って絞られているかを知ることが出来ました。搾乳前に牛が乳房炎にかかっていないかの検査、絞った後の感染予防など正確に丁寧に行われており、病気の疑いがある牛にはすぐさま対応できるようになっていました。 子牛の世話では哺乳瓶離れの訓練を体験することが出来ました。インターンシップ中にも次々に子牛が生まれ、昨晩生まれたばかりという子牛へのミルクやりも体験できました。今回子牛のセリ市場見学もさせて頂け、どれだけ可愛くてもセリに出すことで肉用とすることを考えると、可愛がるだけが酪農ではないと感じました。
今回のインターンシップでは家事も各自で行っており、料理・洗濯を他のインターンシップ生と協力して行うことで交流を深めることも出来ました。またそれぞれに作業内容が異なるため、各作業の大変な点・面白い点・注意点などの情報を交換することが出来、事前知識を持ちながら作業に取り組めました。
今回のインターンシップで印象的だったのは広野牧場社長の「牛は努力すれば必ず結果が返ってくる」という言葉です。牧場においてお金を稼いでいるのは牛だけであり、ヒトは牛が生活するのに最適な環境を作り上げることで利益を得ているのです。どの仕事でも大変な部分は様々にありますが、酪農は努力が報われやすいがため努力を惜しむことなく働けるのだと感じました。広野牧場の社員は20代から30代でベテランと言われる年代ではありませんが、作業スピードや牛への知識がとても豊富でした。インターンシップ生は見学生ではありません。仕事を体験させてもらうという立場です。「指示をくれない」「何をしたらいいか分からない」と隅で動かないのではなく、自身から指示を仰いだり、その場で何をすべきか考えて動かなければなりません。考えて動いて間違えることも怖いですが、仕事をしようとする意欲は分かってくれます。
今回のインターンシップで、酪農はただ動物が好きと言うだけでは出来ない職業だということを体感しました。牛の健康だけでなく、経営、牛の排泄物処理のための周辺農家との関係、事業拡大など今まで考えたことのない様々な課題点についてお話を聞き、知ることが出来ました。しかし酪農は肉や牛乳、バター、チーズなど生活に欠かせないものを作り出す仕事です。酪農離れをしているのはただ「しんどそうな仕事」だと敬遠しているのではないのでしょうか。大変であるという面だけが前面に出てしまいがちですが、その先にある、人に必要とされるものを作り出す喜びや誇りを感じられる仕事であることを学びました。