【2018年参加】 香川大学 工学研究科 M.Rさん
(建設系インターンシップ)
鉄道という休みなくサービスを提供している業態の特性上,施設に手を加える場合にも運用を停止することができないというのが印象的だった.
整備場の新しいものを建ててから古いものを解体するという工事方法はもちろん,観音寺駅のトイレや神前駅の改築についても仮設の設置場所を検討していた.また,線路の工事などでどうしても列車を止めなければ工事ができない場合には何ヶ月も前から日程を確保し,時刻表に反映するという話もうかがうことができ,あらゆる施設が常に稼働し続けており,鉄道事業の邪魔をするという本末転倒な自体にならないように工夫されていることに気付かされた.インターンシップに参加する前は考えたことがなかったが,実際の業務を行う際には様々なことに気をつけなければいけないのだと分かった.
また,安全意識の高さも印象的だった.施設を見学する時の指差し確認などの日常の中での動作はもちろん,工事を行う際にも鉄道の運行に直接影響がなくても「もしかしたら」と悪い状況まで考えて工事が進められているという話を伺うことが出来た.線路脇の工事を行う際は,線路に直接影響がなく,列車が問題なく通行できる場合でも最悪の自体を想定して列車が通過する時間には工事を停止させるなど,事故の予防に細心の注意を払っている様子をうかがうことができた.
見学した施設の中で,最も印象に残ったのは多度津工場である.私が歴史的なまち並みや建物に興味があり,また現在研究しているという話をしたところ,保存と活用のバランスや,多度津工場の歴史的価値などについても触れながら説明していただくことができた.多度津工場の歴史を感じる建造物群は風情がありとても美しいが,時代の変化による利便性の低下,また老朽化に伴う安全性の低下などの問題も同時にはらんでいた.歴史的価値を考慮して建造物群を保存したいという意見もあるが,補修工事や耐震工事を行うためには新築と同程度かそれ以上のコストが必要であり,また安全性は新築より劣るそうだ.このように,実際に利用しながら歴史的価値を維持していくことは容易なことではなく,利便性や安全性はもちろん,多くの場合でコストの問題も生じる.同様の問題は各地の老朽化した駅舎でも見られ,自治体と協議しながら保存していくか,または新築し直すのか検討しているそうだ.
インターンシップに実際に参加してみることで,四国旅客鉄道株式会社の仕事に対する理解を深めることが出来ただけでなく,自身の研究との関わりを見つけることが出来たことが,今回のインターンシップの最も大きな収穫であると考える.今後の就職活動だけでなく,研究活動にも今回の経験を生かしていきたい.